散歩は手足、体全体を動かしている。もくもくと歩いている。
しかし、頭では何かしら思考はしている。その思考している状態では、何かに没頭していたり、忙しく時間を過ごしているわけではない。
ただ、「歩行」は、どこか静寂なところがあり、そして集中しているという状態にあることに一つの特徴があるようだ。
果たして「歩くこと」でもたらされる効果とは何なのか。ここでは、医学的なものは問わない。
日常生活の中で、必要とされうる「アイデア」の創出ということを中心に考えてみたい。
歩く瞑想
散歩は最近、「歩く瞑想」だといわれることもある。
「歩く」ことは「瞑想」することと同じような効果、いやそれ以上の効果が得られるというものだ。
これは「歩く」ことを精神的な治癒という観点から捉えて、精神的な安らぎを得ることができるという内容である。面白い視点だと思う。
精神科医で禅僧の川野泰周氏は『悩みの9割は歩けば消える』の書籍の中で、歩くことは一種のマインドフルネスであると述べている。
「歩く」という動作は今まで運動や病の治療という観点からの視点が多かった。しかし、このマインドフルネスという視点は、「歩く」という我々が日々日常よく行っている動作について再度見直すきっかけになるだろう。
そしてそれだけでなく、「歩く」ということは、今ここに集中することのできる時間でもあるという。よって、何かのためといった目的をもって「歩く」のではなく、「ただ歩く」という意識が必要だとも述べている。
確かに目的をすぐに決めたがることはよくあることだ。しかし、歩く時間だけは、まずは歩くことだけに集中してみたい。
そのためには「スマホ」は持ち歩かないことが賢明だろう。やはりスマホがあると、着信音だけでなく、意識がスマホにいってしまい、歩きながら「スマホ」を見てしまうといったワンダーフルネスつまり意識が分散してしまうのだろうか。
よって、この散歩の時間だけは、「ひとり」になることである。つまり、スマホから解放される時間だ。そういう時間を意識的に持つことで、自分の考えや思考を重きに置くことができるようになる。
いかに「歩く」ことだけに集中するか、ここが散歩の意義があるのではないだろうか。
今ここに集中
有田秀穂氏は『ひとり散歩ミーティング』の中で、朝歩くことで「セロトニン」神経の活性化の効果を示しながら、脳内セロトニンの分泌を増やせると述べている。
これによって、インスピレーションや直観を呼び起こし、前頭前野の血流をよくするという。それを「直観脳」と名付け、マインドフルネスによるビジネス効果があげられるとする。そして
ひとり散歩ミーティングつまり、’ひとりで自然の中、心地よい空気の中を歩いてみる’ことを奨励している。散歩がビジネスにも応用できることなのだ。
そしてその特別な状態を
アスリートのような特殊な覚醒状態「ゾーン」に入る、他の言葉を借りれば、体が一人でに自然に動くというゾーンに入るというのである。
そこで直観的で無意識的な動作へと移行するという。そのクールな覚醒状態がよい直観を生む原動力なのだそうだ。
これは一種のリラックス効果ではないかと解釈する。
人がリラックスできることにはいろいろあるが、この「歩く」という行為にもリラックス効果があるという点は非常に興味深い。
アイデアや直観、ひらめきといった脳の作用はやはり緊張状態では働かない。張り詰めた心の状態から解放される必要がある。
そのリラックスしている脳の状態にもっていく手段には、「瞑想」などがあるのだろう。
そして、この歩行という行為にも川野氏が指摘するように、「禅」や「瞑想」そして「マインドフルネス」の効果があるならば、歩くことは大いに奨励されるべきであろう。
結局それが、学問乃至はビジネスに大きなプラスとなるならばである。
たしかに、ベートーベンしかり、カントしかり、弘法大師しかり、自然の中を歩いた人だった。
彼らは知らず知らあずにある境地つまり「ゾーン」という覚醒状態に入っていたのであろう。それはリラックス状態がなせる業でもあったのだろうと思う。
アイデアとメモ書き
アイデアを生み出すためには、このリラックス状態となっていることが必要だ。
では瞑想してみよう、座禅をしてみよう。してみるが、これらはある程度の慣れや訓練、習慣が必要だと思う。もちろんやってみる価値はある。もし難しければ、静かな時間特に朝などを利用して、起床時に目を閉じて’ぼんやり’してみるのもこれに近いものだと思うから、すぐにできるとしたら、早朝の起床時に試してみることだろう。
それでも、「歩く」という行為は日常いつでもやっているから、これなら20~30分という時間を決めて、歩いてみる。そこから得られることは何かしらある。
- 感じること
- 思い出すこと
- 将来のこと
- 人間関係のこと
- この国の未来
- お金のこと
- 子供のこと
本当にただ意識だけに集中してぼんやりしていると、色々なことが浮かんでくる。もしかしたら雑念の部類に入ってしまうかもしれない。
それでも、思ったことを素直に受け止めながら、次にどうするか。
メモをしてみよう。
メモ書き
これによって、今考えていること、悩んでいること、もやもやしていることが
明確になるかもしれない。必ずとは言い切れないが、やはり「メモ」の効果はある。
だから、散歩とセットにしたいのが、携帯できるような小さめの「ノート」である。
私は現在無印で売っている、小さいノートをメモに活用している。
いつでもどこでも、そして携帯しやすく、軽いそんなノートである。
よって、アイデアを呼び覚ますためには、三つが必要と考える。
一つは 「歩くこと」 二つは「メモ書き」そして 三つめは「瞑想」ということになる。
「瞑想」は本格的なものでなくていい。ただ、静かな時間に目を閉じてみる。そして呼吸に意識を傾ければいいだけのことだ。
行き詰ったら、「歩こう」そして何かに気づいたら「メモ」をしてみよう。
これだけでも、日々の生活に活力がわいてきて、物事がうまく回転していくだろう。
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